土曜の午後、恵比寿の行きつけのカフェで原稿の書き込
みをしていたら、ドンドンドンと店の外が何やら騒がしくなっ
た。工事の作業音ではない。どうやら太鼓の響きのようだ。
正体を確認したい。衝動に押され店を出ると、店の前を獅
子舞が行進していた。いや、獅子舞ではない。

獅子舞の頭に長い首。白ヒョロ長のフサフサを頭上に載せ
て太鼓を叩いて歩いている。たしか東北地方の伝統芸能
鹿踊(ししおどり)。
7〜8体の鹿(しし)が、一体一体太鼓を腹に抱えて打ち
鳴らしている。そして鹿は力強くそして軽やかに踊りだし
た。東北の踊りで恵比寿の街の一角が熱を帯びる。

どのくらいの演舞時間だったろうか、晩秋の陽が陰り空気
が冷え始めたころ観衆の拍手の中、鹿踊が終わった。
そして、陽が落ちた。
恵比寿ガーデンプレイス三越デパートの前で思った。
鹿踊のイベントがあったということは、それに付帯する催
しがあるはずだが・・・。困ったときはデパ地下に行けば何
かある。
三越の入り口で遅まきながら理解した。岩手県「一関市」
のイベントだった。

「いわて南牛」の大きなレプリカが置いてある。
さて、「南牛」・・・なんと読むのか。
正しい読みがわからないプチなストレスを抱えて館内へ。
地下2階の一角に《 いわて一関&平泉フェア 》 のイベント
ブースがあった。小さなスペースだが、いい感じが漂って
いる。スタッフの皆さんの一生懸命が伝わってくるのか、
ほんわりと温かい感じがする。

弊社スタッフの Kと一緒にブースに近づいて展示商品の説
明を聞くことに。この手の話を聞くのは大好きだ。
商品の魅力もさることながら、話を聞いていると、商品の背
景、人の汗や温もり、苦労、商品を育んだ町の風景、果て
は町に吹く風さえも感じることがあるからだ。ただ話を聴い
ているだけだなのに、旅に出たような錯覚すら覚えてしまう。
さて、今回の「一関&平泉」ブースを見て目玉商品を見つけた。
いや、勝手に目玉にしてしまった。岩手県一関市川崎産ひと
めぼれ。その名も《門崎(かんざき)めだか米 》。お米だ。

説破! 「めだか米」とは如何に?

ということで話を伺ったのが、農事組合法人 門崎ファーム
の副組合長、藤江 修さん。とても話が上手な方で、めだか
と田んぼの話をお聴きしているだけで、とても心地よくなっ
てしまった。
めだか米とは 「めだかが泳ぐ田んぼから収穫したお米」 の
ことで、即ち安全な食品だということらしい。
だが、めだかが泳ぐ田んぼで米を育てている地域の話は、
時折耳にすることがある。それとはどう違うのか。
門崎(かんざき)のめだか米は、他と違うと藤江さんは言う。
他の地域に見られるめだか米の田んぼの多くは、人の手で
めだかを田んぼに放流しているのだそうだ。

写真:門崎ファーム副組合長 藤江 さん
しかし、門崎のめだかは、人の手でめだかを放すのではなく、
めだかが自分の意志で?用水路から田んぼに出入りするらしい。
その環境を藤江さんたちが作り上げ、守り、維持しているのだ
という。

門崎めだかファンクラブ:facebookより
秋以降、田んぼの水を抜いた非灌漑期のめだかは、土水路など
に生息しているそうで、春になり田んぼに水が張られる頃になる
と田んぼに入って繁殖するらしい。
昔ながらの生態系を平成の今に再現することに成功した貴重な
田んぼのようだ。
その田んぼには「めだかの水路」があり、「めだか用の三角池」、
「往来マス」 さらには「めだか用の魚道」まであるらしい。
聴いているだけでワクワクしてしまった。
もっともっと詳しく教えていただいたのだが、ここに長々と
書くわけにもいかない。
youtube動画がUPされている。蛍光イエローのベストを
着て説明をされている方が副組合長の藤江さん。
興味が湧いた方は、ぜひ直接恵比寿三越の地下2階を
訪ねて、藤江さんから素敵な話を聞いていただきたい。
恵比寿三越の《 いわて一関&平泉フェア 》は 11月 3日まで開催
※我が家用に1kg 買ってしまった。

{(試食=美味しい)+(生産量限定=少量)=即買)
スタッフ I