2015年03月30日

3/30 妖怪観光を探る_4(スタッフ日記)


30数年前、周囲98qと記されていた巨大な人造湖が北海道の道北にある。

その湖は多くの細かい入り江をもつ、複雑な形をしている。

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写真:google earth

碧の水を満面に湛えている朱鞠内湖はとても美しい湖だ。しかし、渇水期に
なるとその表情が一変してしまう。

朽ちた大小の立木が湖面から突き出し天に向かう。水位の下がった汀は赤々
とした土が露出して周囲の景観を酷く緊張させる。
 
10代の頃から日本の海岸線を廻り、ロケや取材の仕事で日本各地を訪ね
歩いていた筆者だが、この湖だけは日本の遺伝子を感じることができない。
朱鞠内湖という湖は、それはそれは奥深い美しさと厳しさを持っている。

その朱鞠内湖の湖畔に朝がきた。テントの中がうすら明るい。しかし、その
薄っすらとした明かりは、いつもの夜明け前の頼りない明るさとはどこか
がっている。いつもの様にワクワクさせてくれるような朝の光量ではなかった。

それでも、朝はきた。

湖畔の夜はしっかりと冷えた。真夏の道北の夜はとても寒かった。テントを
包むいつもと違う弱気な光でも、朝が訪れてくれたことは素直に嬉しかった。
モソモソっと寝袋から抜け出し、テントの外へ出た。

濃霧・・・・・・・・なるほど、テントの中で感じた弱々しい朝の訪れとは、
そういうことだった。それにしても、なんと密度の濃い霧だろう。両手を
正面に向けて伸ばしてみると、肘の辺りから先が霞んでいる。

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視界は50〜60cm程度といったどころだろうか。1メートルも無いことは
確かだった。踏みしめているはずの足元の地面も、かがんで目を凝らさ
なければ確認できない。たとえ大型のボイラーが爆発したとしても、これ
ほど濃密な水蒸気とはお目にかかれないだろう。

この湖には釣りをするために来た。だから、湖水の状況を知りたいと思っ
た。水温はどれほどのものか、ライズ(魚の捕食行動などによっておき
る水面の乱れ)はどの辺りに起きているのか、その数は・・・・・。

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これほどの濃霧なのだから、水面の変化もライズもあったものではない
が、それでも確認したいのが釣り人の心理というものだ。

・・・・それにしても濃い霧。

途方もなく濃密な霧の中を歩いていると、じわりじわりと恐怖心が湧き
あがってくる。何も見えないからだ。もし、少しでも早歩きをしたなら、
周囲に立ち並ぶ白樺の木に顔面から激突してしまうだろうし、ヒグマが
突然目の前に現れる可能性すらもゼロではない。この地がヒグマの生息
域である以上、最低でもその程度の危機感を持たなくては、北海道で釣
りをしてはいけない。

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とにかく見えない。先が見えない。手さぐりというよりも足探りで湖畔
にたどり着くことができた。

足元を覗き込み、そこが水際であることを知った。そこにたどり着くま
で、かがむように足元ばかりを見ていた筆者は、その時初めて仰ぐよう
に腰を伸ばした。腰を伸ばして反り返えれば、黙っていても視線は前方
の中空に向けられる。

あっ いた・・・・

そこに、目の前に・・・大きな妖怪が・・・・・。

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 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー スタッフ: I

posted by JN01 at 00:00| 日記