2016年04月15日

7年に1度の大祭!飯田お練りまつり観覧記


 先月27日の早朝、筆者は南信州の飯田市というまちにいた。
3月25日からの3日間、長野県飯田市で開催されている
「飯田お練りまつり」の最終日を観るためだ。

 大宮諏訪神社の式年大祭に合わせて 7年に1度開催される
「飯田お練りまつり」。今年は期間中、計47団体の参加があり、
大名行列や東野大獅子に代表される獅子舞や囃子などのさま
ざまな伝統芸能が繰り広げられた。

飯田お練りまつり号外

 大勢の人が町に出て練り歩くところがその名の由来の
「飯田お練りまつり」。その名のとおり、祭りが持つ独特
の空気に大勢の人々が酔いしれる。約350年もの歴史を引き
継ぐこの祭りは時代の変遷を経て平成の時を迎えても、
未だ熱い思いを町中に漲らせている。

 本町三丁目の出し物、国宝級の逸品を用いて町中を練り
歩く大名行列。その様式は百万石格式相当と、まさに江戸
時代さながらの大名行列を再現している。大名行列の先頭
「化粧傘」から「えーはりわさーとーな〜(威張業途也)」
の掛け声が発せられると、江戸時代に紛れ込んでしまった
ような感覚を覚えた。
練り歩く百万石の大名行列も、そのひとつひとつの所作の
切れの良さは、思わず惚れ惚れとしてしまう。

 「飯田のお練りまつり」といえば、獅子舞を見逃すわけ
にはいかない。実際には大きすぎて見逃すことはないだろ
うが、東野大獅子の存在感は圧巻だ。さらには、2階建て
住宅ほどもある巨大な東野大獅子を華麗に捌く宇天王の
姿は、周囲も次元も異界のものに変える。

飯田お練りまつり

 7年に一度、お練りまつりのために、眠れる大獅子を
起こしては寝かせる。
「大門口起こしの舞い」「道中起こしの舞い」
「まだかの舞い」「寝かしの舞い」。
寝ていた獅子を起こして・・・寝かす、という一連の
ストーリーをもった東野大獅子の舞いは大変興味深い。

 最終日の夜、市内の大宮諏訪神社境内で、荒ぶる獅子を
次のお練りまつりが開かれる7年まで寝かしつける「舞い」が
行なわれる。「寝かしの舞い」だ。

 筆者は大宮諏訪神社で東野大獅子を待つことにした。境
内では多くの観衆が時遅しと大獅子を待っている。しかし、
寝かせの時間になっても大獅子は現れない。境内に据えら
れた拡声器からは「大獅子が寝たくないと言ってなかなか
来てくれない・・」そんなことわりが流れる。

 そして、予定時間を過ぎること2時間、ようやく東野大獅子
が大宮諏訪神社の境内にその姿を現した。

 大きな大きな体躯である。あまりにも大きすぎて、神社の
鳥居をくぐることができない。くぐれないものだから、大獅
子は鳥居の脇から境内に姿を現した。境内いっぱいに巨躯を
揺さぶる大獅子。
 簡単には寝たくないという獅子の思いが伝わってくる。

 大獅子に繋がれた紅白の手綱を右に左にと捌きながら、宇
天王は大獅子を宥めすかす。聞けば、これから大獅子を寝か
しつけるまでに2時間近くかかるという。だが、次に東野大
獅子に会えるのが7年後であるのならば、何も今ここで寝か
さなくとも良いではないかと思ったりもしてしまう。が、そ
れでは祭りがいつまでも終わらないのだから仕方あるまい。

 幸いにも、今年は長野市で開催される第67回全国植樹祭で、
天皇、皇后両陛下ご臨席のもと、大獅子の演舞を披露する予
定とのことだ。6月5日にもう一度、東野大獅子の荒ぶる姿を
観ることができるらしい。

 話は戻るが、東野大獅子が境内に到着するまでの2時間近く、
私たち一行は境内でただひたすら待っていた。が、その時間、
地元の方々は大獅子の後をついて歩いていたという(全ての
方ではない)。

 「飯田お練りまつり」では「所望」(店や個人宅に立ち寄る
よう要請すること)を受けた獅子舞の団体は、所望をした店舗
や家を訪ねてはその前で舞を披露してご祝儀をいただく。
自分の好きな団体の後をついて回るのが地元ならではの楽しみ
方だと、大獅子を待つ周囲の人たちに教えていただいた。

 大名行列や東野大獅子だけでなく、今年参加した47の団体全て
がそれぞれに特徴を持っている。その伝統芸能を一度に楽しむ
ことができる「飯田お練りまつり」は、まさに贅沢な空間とい
えるだろう。

 この土地の人々が先代から受け継ぎ、そして次世代へと丁寧に
手渡す伝統。南信州は飯田の地に来てその伝統を知り、触れる
ことができた。そこには祭りを支え、祭りを楽しみ、祭りを誇り
とする、地元の方々の「地元を愛する心意気」があった。

 夜が明け、すでに祭りは過去になった。6月にもう一度目覚める
という大獅子も、その後は 7年近くは眠ってしまう。
 次に大獅子が目覚めるとき、飯田のまちは、日本は、そして世
界は果たして平和であるのだろうか。残雪をたたえた中央アルプ
スを視界の左に楽しみながら、アクセルを踏み込み帰路に就いた。


                     (スタッフ I、K、T)



posted by JN01 at 09:04| 日記